新型コロナウイルスについて その3

首都圏を中心に非常事態宣言が出ました。様々な影響があると思われますが必要なのだと思います。圧倒的に人口の多い東京は、コロナ感染陽性患者さんが多数見つかっていますが、日本全国各地で増加し続けています。確かに流行地域と非流行地域に分かれる部分はありますが、私は日本全体が一隻のクルーズ船と同じようになったことだと認識すべきと考えてます。

強弱はあるでしょうが、どこにいても他人同士が集合すれば常に感染リスクはあると思います。コロナウイルスが厄介なのは、無症状で元気で動き回っている感染者が多数いるということです。また無症状なのにコロナウイルスは他の人に伝播していく力が、かなり強いということがあります。これまで経験してきた感染症にはない、非常に手強い特徴です。

これまでも、現在も、アメリカ、ヨーロッパ、韓国などと異なり日本ではPCR検査をどんどん実施して、このような無症状の感染者を見つけ出すような体制は取っていません。すでに報道されているように、PCR検査で完璧に見つけ出すことはできません。仮に本当にコロナに感染していても20%ぐらいは、偽陰性があるようです。そのため感染症治療の専門家、公衆衛生専門家の間でも、どの程度PCR 検査をやるほうが良いのか意見が一致しないようです。

結局どちらにしても、無症状で比較的元気なコロナ感染者を100%見つけ出すことは出来ない、と私は解釈しています。そのため日常診療において、2月下旬頃からは、「そこまでやらなくても大丈夫ではないですか?」と思われるぐらい感染対策を徹底的に行うようにしてきました。更に仕事以外のプライベートでも、医療従事者として感染リスクを極力さけるように従業員にもお願いしてきました。

もし、香川県内で感染が、大規模に拡大してくる兆候が明らかになると、多くの業種、飲食店などが営業自粛、休業などになると思われす。しかし、私たちは医療従事者なために、「コロナ感染が怖いかも知れませんが、できるだけ閉めずに診療を続けてください」という話になると思います。そういうことも想定し、院長である私だけでなく従業員、スタッフ全員が、感染状況が極めて深刻になる前から、感染防御意識を高め、その実施に慣れておく必要があると考えていました。

とにかくコロナウイルス対策は他人と接触しないことが最大の感染予防になる訳ですが、社会生活、仕事を営む限り、誰もが完全に他人との接触を遮断することは出来ないと思います。結局、避けられないことは注意しながら受け入れ、避けられることは最大限避けるようにするしかない、と考えてます。何を避けて何が避けられないのかは、個人個人によって違うと思います。一人一人が意識を高め、よく考えて判断、行動するしかないと思います。だからこそ外国と異なり、日本においては自粛要請であり、強制・命令ではないのかも知れません。

感染終息に向かうような確実な流れは政治主導による部分が大きいと思います。例えば休校の判断、自粛要請を指示する業種、業績悪化、失業などに対する経済保障などがあるかと思います。今後は首相、各都道府県知事らの適切な政治判断に委ねるしかないと思います。しかし、繰り返しになりますが、一人一人の感染防御意識と行動変容にかかっているのは間違いありません。努力しても運悪く、コロナに感染することは誰もがありうることですが、感染しないように最大限務めるべきでしょう。自分が感染しなければ、他人に感染させることもないわけですから。

新型コロナウイルスについて その2

日々刻々と新型コロナ感染についての状況が悪化しつつあります。

先日、お笑い界の大御所、志村けんさんが亡くなりました。残念でなりません。子供の頃8時だよ全員集合を楽しんで観ていました。

これから日本での状況はどうなるでしょうか?悲観的ではありますがアメリカ、欧州と同等レベルまで感染患者が急増するような気がしてます。また現時点では2~3週間前と異なり、多くの方がさすがに不安を感じていることだと思います。

政府、厚生労働省は、まだぎりぎり持ちこたえているということで、非常事態宣言を見送っていますが、毎日感染者は増加し続けています。医師会も提言していますが完全に緊急事態を宣言する段階に入ったと判断せざる得ないかと思います。

新型コロナで重症化するのは持病のある高齢者で、8割の方は比較的軽症である。これは確かにそうなのですが、ある意味誤ったメッセージになってしまったように思われます。つまり若年層にとっては感染したら感染したらで何とかなる。まあ自分は大丈夫だろうという感覚が生じてしまったことです。実際に2月~3月上旬にかけて海外旅行に行った人、休校中に旅行にでかけた高校生などに感染者が現れました。活動的で感染リスクの高い行動を取っているので、ある意味当然と言えば当然なんですが・・・

一方でこの1~2日間で気になるのは乳幼児の感染が判明し、重症な子供がいることです。活発な行動の若者と比較して、活動範囲が限定的な乳幼児感染において感染経路不明であるとなれば、水面下でウイルス感染者が激増している兆候だと思うのです。私は感染症、公衆衛生学の専門家ではありませんので、あくまでも個人的見解ですが。

今起きていることは東京、大阪などの大都市圏の問題ではなく、明らかに日本全体の問題で感染流行地、非流行地などに分けて対策を考えることとも違うように思えてなりません。政治主導によって強力なメッセージのもと、国民全員で力を合わせて行動変容を促していくしか残された道はないように思います。またそうなるように望んでいます。