肘部管症候群について
手から肘のしびれ、特に小指側(手の甲側と掌側)がしびれる場合には腋(ワキ)から手まで
走る尺骨神経が肘の内側を通る部位(肘部管)で圧迫を受けることがあります。
これを肘部管症候群といいます。肘をよく使う仕事をしている方、野球など投球動作を行う方、
子供のころに肘の骨折の経験がある方、などに見られる場合が多いのです。原因として、肘からの
骨の突出(骨棘)、骨折後の神経周囲の癒着、肘関節から発生するガングリオン(袋状のできもの)
などが神経を圧迫すること、などが挙げられます。これらはレントゲン撮影やMRIによって
確認できます。
以下の症状がある場合には肘部管症候群が疑われます。
・指の動きが悪い(とくに小指が閉じにくい)
・手の甲側の指の間の筋肉が痩せこけて見える
・肘を深く曲げているとしびれが増強する
治療は手根管症候群と同様に、内服薬(ビタミンB12、消炎鎮痛剤)、安静(一時的な肘の固定)
ブロック注射、を行います。スポーツなどにより過度のストレスを肘に与えたことによる一過性の
症状である場合には、これらの運動を一時中止することで神経が回復し症状の改善が得られます。
これらの治療で効果が得られない場合や指の動きが悪くなった場合には手術治療(神経の圧迫を解除)
を行います。 また、この尺骨神経が手関節の小指側を通る部位(ギオン管)で圧迫を受ける場合には
手首から先の小指のしびれや筋肉の痩せが生じ、これをギオン管症候群と言います。
まずは肘部管症候群と同様、安静、ブロック注射、等の治療法を行うことで改善を図ります。
症状が進行する場合には、神経の圧迫を解除する手術を行うこともあります。これらの手術的治療も
日帰り・外来手術で十分に対応できます。
この文書の著作権は医療法人社団渋谷整形外科医院に属しています。
この文章の無断転載、複写等はご遠慮下さい。
Copyright c Shibuya Orthopaedic Clinic All Rights Reserved