
骨粗鬆症について
高齢化社会の進行によって、骨粗鬆症の患者さんが大変増加しています。
病気としては「骨が脆く弱くなり、骨折しやすくなる病気」として認識されています。
骨粗鬆症は通常自覚症状は基本的にありません。
ささいな転倒、しりもちなどによって骨折し、初めて気がつくことになります。
外来診療で圧倒的に多く経験するが、脊椎圧迫骨折です。また手をついた際に、とう骨縁位端骨折も
しばしば受診されます。
骨粗鬆症を「骨の老化現象」と思い、疾患と考えずに特に治療をしない方も多くおられます。
ここで重要なことは、完全な老化現象であれば一旦減ってしまった骨の量は戻らないことになります。
しかし、外来でも経験するのでありますが、年齢とともに減少する骨の量を維持するだけでなく
増加する患者さんも多くおられます。
最近の骨粗鬆薬の開発は目覚しく、カルシトニン製剤、活性型ビタミンD製剤、ビスホスホネート剤、
女性ホルモン誘導体、PTH製剤など、骨塩定量検査、血液検査による骨代謝マーカーの結果から、
個々の患者さんに最適の組み合わせで治療することが可能になってきました。
骨粗鬆症のため発生する大腿骨頚部骨折(太ももの付け根の骨折)では、本人の意思および全身状態
にもかかわらず、手術による骨折治療がまず必要になります。
整形外科的疾患は基本的には心臓疾患、癌のように命に関わらないため、絶対的に手術をうけねば
ならない患者さんは少ないと思われます。
しかし、大腿骨頚部骨折では寝たきり状態になり、明らかに余命が短縮します。
患者さん自身にとっては骨折を生じて寝たきりになることも怖いのですが、それに伴う家族の介護の
問題も非常に心配されます。
そのため転倒予防の筋力訓練、また転倒した際に骨折をおこさない丈夫な骨にしておくことが重要です。
内科の先生が様々な合併症を予防するために高血圧、糖尿病、高脂血症を治療するように
整形外科医は全力で骨粗鬆症を予防する必要があります。
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