
脊椎圧迫骨折について
前述したように、外来診療ではささいな転倒などによって、急激に腰痛、背部痛が出現したということで、
多くの患者さんが見受けられます。
10〜20年以上前では、「痛みの強い場合はしばらく安静目的で入院すれば、いずれ骨が固まって治る」
という感覚でしたが、最近では不良姿勢の進行、胃腸障害の遠因となることや、内在する骨粗鬆を
放置すれば続発的に脊椎圧迫骨折を生じる可能性が高いことが、大規模臨床データから得られており、
脊椎・脊髄疾患の専門医の立場からすれば、軽々しく扱ってはいけないものと思われます。
診断として、まず画像診断により新鮮骨折か否か、また骨折レベル、数、椎体圧潰の程度を正確に
把握します。また同時に骨量検査、骨代謝マーカーの測定により、患者さんの骨粗鬆の程度も
判断します。痛みが非常に強い場合などは、安静目的だけであっても入院治療をおすすめする
場合があります。おおよそ2〜3週間の入院期間が目安となる場合が多いでしょう。
そのその他コルセットなどの外固定装具を装着し、骨粗鬆薬物療法を強力かつ積極的に行います。
受傷後1〜2週間は痛みが強いですが、3〜4週間程度でよくなってくる方が多いようです。
一部の患者さんでは、痛みが長引き、身長低下、不良姿勢が目立つこともあります。
最近ではBKPといって、ごく小さな切開で骨折椎体内に特殊な器具を挿入し、椎体内で風船を
膨らませ、その内部に骨セメントを注入し、直ちに痛みを取る治療法もあります。
背骨の圧迫骨折後、痛みの長引く患者さんは、ぜひご相談ください。
この文書の著作権は医療法人社団渋谷整形外科医院に属しています。
この文章の無断転載、複写等はご遠慮下さい。
Copyright c Shibuya Orthopaedic Clinic All Rights Reserved


